PD トリガーツール(PPS,AVS機能含む)

組み込み系

 PDで任意の電源を取り出せるツールが欲しくて、色々と探してみたが固定電圧のトリガーデバイスはごろごろしているが、PPSや、AVSに対応した物が見当たらない。そこで自作してみることとした。

 FUSB302でPDプロトコルをデコードして対応する方法が第1に浮かんだのだが、結構面倒であるようで、もっと気軽に制御できるものはないかと探したところ、CH224Qというデバイスが存在することが分かった。
 回路図を作成して、いつものように生板のみJLCPCBで作成して、実装は国内での対応を検討していたのだが、CH224Qの入手がLCSCでしか確認できず、思い切って部品実装までJLCPCBで依頼する方向とした。この場合、他の部品もLCSCで入手可能な部品を選定するという手間が発生する。

 Kicadで回路図を作成、アートワークも終了し、面付けまで行って依頼したところ、エコノミーの依頼では、Vカットをサポートしないと言われ、料金が高いプランで行くかと思案していたところ、捨て基板もつけずに、単体の基板で作成してもらったらよいのではないかと考えを切り替えたところ、結果的に面付けして基板を作成するよりもトータルコストが下がることが分かった。
 回路的にはすんなりと動作した。CH224Q自体の動作電圧が4V~30Vとなっているので、下限電圧を5Vとして、PPSの選択としては3.3V~21Vの指定が可能だが、5V~21Vの出力を得られるようにFWを作成した。出力電流の制限は、4A固定としてUSB充電器の規格を超えないようにするのは、使用者の責任とすることとした。
 完成すると、欲が出るもので折角なので固定電圧も選択できるようにし、ひとまずのFIXとした。

 ところが昨今のUSB充電器を見ると140Wとか240W出力が可能で、AVSなるものも存在することが分かった。140Wは28V5A、240Wは48V5Aの構成となるようだが、140WのUSB充電器はちらほら見るものの、240Wの物はなかなか見当たらない。UGREENのNexode500Wの物が1口だけ240Wに対応しているとのこと。CH224Qが30Vまでの対応品であることから、140W品の対応を追加検討することとした。
 140Wは、EPRという標準とは異なる仕様での通信フォーマットになるようだが、CH224Qは単純に接続しただけではEPR対応品というbitが1にならずどのように扱うのかが不明であった。5VのPDOには確かにEPRのbitが立っていたので、そこでUSB充電器がEPR対応品なのかを判断できるが、いかんせん、EPRのPDOが読み出せずにいた。解決方法としては、強制的に28Vを出力させた状態で、読み出すとEPRの内容が読み出せた。
 この読み出せた結果から、28VPDOとAVSのPDOの内容を取り出すことができた。
 これで140W品のUSB充電器(MATECH Sonicarge 140W Pro X)から、5V,9V,12V,15V,20V,28VとPPSで5V~11Vまでの電圧、AVSで15V~28Vまでの電圧を取り出すことができるようになった。
 良いロードスイッチが見つけられず、ハイサイドスイッチでの対応とした。電源出力前にショート状態の場合は、過電流をハイサイドスイッチが検出して出力電圧を下げることができ、また、FWで電流監視を行うことでFWとしてハイサイドスイッチをOFFにすることができている。しかしながら通電中にショートさせると、MCUが止まってしまう結果となった。この回避方法は、BORを有効としてシステムリセットが発生することで出力が停止する状態になるようにした。

 今回の基板では、裏面に部品を搭載すると、使用中に線材くずなどでショートしてしまうのを避けるために片面実装にしたかったため、小型の部品選定に苦労した。
 ハイサイドスイッチとMCUの選定に時間を費やしたが、ハイサイドスイッチはON抵抗が80mΩもあるため、3Aも流すと0.72Wもの損失が出るので、実仕様的には2A程度が最大と思われる。もう1桁小さいものもあったのだが、LCSCで入手ができず見送りとなった。
 MCUについては、最小でそこそこROMがあるものとして、MSPM0シリーズを検討し16PINの物があったのだが、色々と欲をだしていったところ20PIN程度必要となり、結果的にSTM32に落ち着く結果となった。

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